GT

オフロードライディングの歴史を切り開いてきたGT。トリプルトライアングルフレームや独自機構のリアサスペンションシステム。刻み込まれたMTB DNAが、タフなバイクを創り出す。

GT bicyclesの誕生

GTの生みの親であるゲーリー・ターナーは、トランペットやトロン
ボーンのような高度な溶接技術を必要とする楽器の修理職人だった。普段の仕事と離れて高強度のクロモリ鋼を溶接してドラッグレーサーカーを作る傍らプロのドライバーとしても活躍した。
 1973年、大きくなった自らの息子に最先端のクロモリ素材を使用してBMXレーサーを作ると他の子供からも作って欲しいと要望が殺到し、その噂が一気に広がった。ゲーリー・ターナーはカリフォルニア州サンタアナに工房を構え1979年にゲーリー・ターナーの頭文字を取ったGT bicyclesというブランドを設立し世界に向けて販売を始めた。
 1980年からGTは毎年すさまじい勢いでフレームを開発し、次々にBMXの領域を広げていった。例えばフリースタイルというジャンルを作り上げたPERFORMERは伝説となり、今日まで続くBMXのカテゴリーになっている。その後、GTはBMXレースの上位を独占し世界のGTへと飛躍を遂げた。
 そしてGTはトリプルトライアングルフレームを開発し、BMX同様にMTBのレース界を席巻。圧倒的な性能を誇るバイクは世界を驚かせた。誰よりも速く走れるバイクを生み出したGTは次々に勝利を収め、世界最速を決めるワールドカップでジュリアナ・フルタド選手が現在も破られていない最多記録である28勝を記録し、ニコラス・ボリオッツがユースワールドカップで勝利を得た。

最高を求めて

 1994年にはリアサスペンションを装備したMTBの先駆けとなるRTSを発表。その性能が認められて、アメリカナショナルチームへ供給する事が決定した。翌年には世界初の4バーリンケージ方式サスペンションシステムとしてLTSシリーズを発表。1997年、カーボンファイバーの一種であるサーモプラスチックを使用したフルサスペンションMTBを開発。1998年にSTSテクノロジーを応用したダウンヒルレースに特化したLOBODHを完成。
 さらにGTは現行モデルの原型となる、全く新しいサスペンションプラットフォームi-DRIVEを完成させた。そのプラットフォームを使用した世界最速のダウンヒルモデルDH-iによって、世界チャンピオンの栄光がGTにもたらされた。
 2012年にはGTファクトリーレーシングチームに、MTBの歴史上で最も進化しているチームと言われるアサ―トンレーシングが加わった。アサ―トンからのフィードバックは、ダウンヒルバイクのFURY、エンデューロバイクのSANCTIONだけでなく、GTのすべてのバイクに活かされている。
 このようにGTは常にレースの最前線でトライ&エラーを繰り返し、
開発へのフィードバックを続けてきた。世界最高の“FAST”なバイクを創る集団である事がGTの存在意義だ。

「ANGLE OPTIMIZED SUSPENSION」 ドライブトレインとサスペンションシステムを切り離したGT 独自のサスペンションテクノロジー。

 GTは1999年にi-DRIVEを開発してから今まで一貫してハイピボットのサスペンションデザインを採用してきた。最高の衝撃吸収性を実現するハイピボットはリアサスペンションシステムの絶対的な「正」なのだ。ピボット位置が高いので、リアホイールは真上ではなく斜め後方へ動いて衝撃を受け流すため、失速することがなく、路面追従性も非常に高い。
 しかし、一般的なハイピボットデザインのサスペンションは、リアホイールが斜め後方に動くことでチェーンが引っ張られクランクを逆回転させようとする動き =「キックバック」が発生しペダリングを妨げてしまう。GTは BB 部分をフレームから独立させたサスペンションデザインを採用。サスペンションが動いても、チェーンは引っ張られず、BB ~リアホイールの距離を常にほぼ一定に保つ。
 また、一般的な前三角形に BB を配置したフルサスペンションバイクに乗っている人を見ると、ペダルを漕ぐたびにフワフワとサスペンションが動いてしまっている。このぺダリングロス=「ボビング」も、BB をフレームから独立させた構造をとることによりほとんど発生することがない。
 この基本的な考え方を継承して更なる進化を遂げたのがAOSだ。新しい「PATH LINK」がホイールの軌道を安定させ、どんなハードなシーンでも確実かつ、なめらかなサスペンションの動きを手に入れた。さらに、サスペンションのレイアウトが低重心なため、余計な荷重移動が必要なく、より楽に自由自在にハードなアップダウンが続くトレイルを楽しむことができる。

「TRIPLE TRIANGLE」 強く、高剛性で、乗り心地が良い、GTのアイデンティティー。

 ライダーの強大なパワーを受け止めしなやかな走りを実現するフレームは、リアトライアングルとフロントトライアングルの接点を2倍に増やすトリプルトライアングルテクノロジーによって実現されている。ペダリングでたわみやすいリアフレームを、「面」で支える事で比類なき曲げ剛性とねじれ剛性をクラス最軽量のフレームで実現。さら
にホイールからサドルに向かうシートステーが延長される事で路面からの細かな振動を吸収。駆動効率の良さと快適性を兼ね備えた独創的なフレーム設計がトリプルトライアングルだ。
①通常のフレームの2倍の溶接ポイントを設けることにより、強度アップ。
②地面に対して角度を寝かせたシートステーにより、衝撃が緩和され乗り心地アップ。
③通常のフレームよりもコンパクトなリア三角形により、ねじれが抑えられペダリングパワーの伝達効率がアップ。
 このトリプルトライアングルは、高い精度が求められ手間とコストがかかるが、GTは耐久性を重視し、クロスバイクからハイエンドカーボンバイクまで幅広く採用している。

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