伝統と革新。ロードレースの本場、イタリアで培われた伝統を重んじながら、常に常識に捕らわれず先進的なアイデアでイノベイティブな製品を開発し続けるロードバイク界のトレンドリーダー。
輝かしい栄光の歴史
元プロレーサーであるジョバンニ・ピナレロが1953年に興した生粋のイタリアン・レーシングブランドがピナレロです。現在は長男であるファウスト・ピナレロが後継者として任されている。創業者のジョバンニは、1951年のジロ・デ・イタリアにおいて当時成績最下位の選手に与えられた黒ジャージ「マリア・ネッラ」を着て完走している。これが、今でもピナレロのジャージデザインなどに生かされ「マリア・ネッラ」という名のままラインナップされている。ピナレロがスポンサードしたプロチームは多くはないが、ツール5連覇を果たしたミゲル・インデュラインを筆頭に、ペドロ・デルガド、ビャルヌ・リース、ヤン・ウルリッヒ、エリック・ツァベル、マリオ・チッポリーニ、アレッサンドロ・ペタッキ、ミケーレ・バルトリ、イヴァン・バッソ、オスカル・ペレイロ、ファンアントニオ・フレチャ、ファビアン・カンチェラーラ、など歴代の偉大なチャンピオン達のほとんどは、その歴史の中でピナレロを駆って活躍した時期があります。彼らの栄光の歴史はピナレロの歴史でもあるのです。そして現在はTEAM SKYのマーク・カヴェンディッシュやブラッドレー・ウィギンス、TEAM MOVISTARのアレハンドロ・バルベルデが活躍しています。
革新的なテクノロジー
ピナレロ社の歴史には「革新」という言葉は切り離せません。これまでのスチールフレームから素材がアルミニウムに移行しようとしている時期に、アルミは軽量で剛性持てるが硬すぎて身体への負担が大きいと、他社に先駆けてアルミニウムにカーボン製のバックステイを組み合わせるという初めてのハイブリッド構造を考案し、ヤン・ウルリッヒがレースで大活躍、翌年には各社のバイクがピナレロ社の方式を模倣し一気に「アルミ+カーボンバック」の時代が到来しました。また、逆S字とも言える極めて特徴的なシルエットを持つ「ONDA」カーボンフロントフォークも考案。ハンドリングの安定性、ブレーキング時の剛性、そして路面からの不快な振動を身体へ伝えない快適性と相反する要求を一挙に解決した。その操作性に優れたハンドリングは「ピナレロ・ハンドリング」と称され、今ではハイエンドのレースモデルからホビーユーザーが乗るエントリーモデルまで、すべてのピナレロ・ロードに装備されることとなりました。他には「インテグラルヘッドシステム」、「コンパクトドライブシステム」、「オーバーサイズBBシステム」など、今は当たり前な技術の多くをピナレロが考案し広めていったのです。
サイクリストとしてのファウスト・ピナレロ
そして、忘れてはならないのが、多くのフレームビルダーが自転車フレームには「最適最良の素材」と判っていながら、高度な溶接技術を必要とし極めて高価な素材であるため使うことが出来なかった「マグネシウム合金」を使ったロードバイクとして世界で初めて量産化に成功。こうして、世界中のサイクリストを魅了し続ける唯一無二の存在としてピナレロ社のフラッグシップモデル「ドグマ」が誕生しました。 ピナレロ社の代表であるファウスト・ピナレロはこう言います。「ただ走るだけならピナレロでなくてもいい。ユーザーに認めてもらうにはピナレロだけの魅力が必要。それは決して価格ではない。トッププロ選手の成績が保証する走行性能であり、イタリアらしい流麗なデザインや独創的なテクノロジーという他にはない要素でピナレロを選んでもらえるはず。」 そう、彼はピナレロ社の代表でありながらも自身が年に1万キロ以上走る熱心なサイクリストでもあり、地元トレヴィーゾのグランフォンドチームを率いてイタリア各地を走っている。そんな彼だからこそ、ユーザーはどんな自転車を求めているのか、サイクリスト達はピナレロのロードバイクに何を求めるのかをよく理解しているのです。
最新機材とスポンサーチーム
現在では、使用する素材の主軸はカーボンファイバーに移りましたが、手に入る最良の素材を用い、最新のテクノロジーで設計し、製品を作る姿勢に変わりありません。 ピナレロのハイエンドモデルは、日本の東レが作る最高品質のカーボンファイバーを使い、TORAYCAのロゴを製品に付ける事を許された唯一のロードフレームであり、ベストレースバイク・アワードを4年連続で受賞するなど、その品質と性能は世界中のサイクリストから認められています。 最新モデルの「ドグマ2」は、ピナレロが提唱する「アシンメトリック=左右非対称」設計を用い、高度な解析技術を活用して外見的にも左右で違うデザインを持たせて走行時に掛かる応力を適正化、さらに数値流体力学シミュレ-ションによりエアロダイナミクスも追求し誕生しました。現在は、TEAM SKYとTEAM MOVISTERの2つのプロツアーチームが「ドグマ2」で戦っています。 ピナレロは市販モデルとプロ供給モデルに違いはなく、彼らが使う機材とまったく同じテクノロジーを用いて生産されており、エントリーモデルであるアルミ・カーボン ハイブリッドフレームを使用した「FP UNO」にも最新のアシンメトリック・デザインは採用されています。