日本のガリビエ!?大弛峠にGT300リーダーの中山友貴選手とチャレンジ ~今中大介~

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INTERMAX情報 13年08月19日

自動車が通行できる峠としては日本一高い大弛峠(標高2,360m)に、山梨県側からレーシングドライバーの中山友貴選手と行ってきました。この峠はツール・ド・フランスで有名なガリビエ峠に匹敵するほどの標高差があり、難易度からしても完全に超級クラス。"プロ養成坂"と言って過言ではない上り坂です。

トップドライバーで坂好きの中山友貴選手とインターマックスを出発



 今回一緒に行ったのは、スーパーGT300クラス、ポイントリーダーの中山友貴選手。ホンダCR-Zを巧みに操って、これまでの4戦中に3回も表彰台に立っているトップドライバーです。彼はロードバイクをトレーニングに採用していることで有名で、J SPORTSをご覧になる方なら「自転車のススメ」ですっかりお馴染の存在。


 クルマのレーサーが強烈な横Gに耐えてハンドルを操作し、自分の体重を遙かに超える踏力でブレーキングを繰り返しているのは、モータースポーツ好きならご存知ですね。究極のドライビングをするためには、アスリート並みの心肺機能と持久力が必要のようです。片山右京さんや元々自転車の選手だった佐藤琢磨さんが、ロードバイクで鍛えているのも周知のとおり。
 
 連絡が入ったのは数日前。「今中さん、今度一緒にトレーニングしましょう」と電話があったものの、「熱中症になってもいけないし、どうしよう?」と、当日まで天気を見ながら思案していました。しかし、本人も全力で走らないと気が済まない性分。僕自身も久し振りに大弛峠に挑戦しようとしていたので、意見が一致。

 峠は山梨県と長野県の県境に存在し、完全に舗装されているのは山梨県側。上り口の山梨市牧丘町から距離30kmで2,000m近くの標高差を上ります。ふもと辺りは中山友貴選手の公式ブログ~今日のオフトレーニング~にも紹介されているように、何度もトレーニングで通過しているのですが、大弛峠に二人で行くのは初めて。
 最初の直線的な上りだけで「この先大丈夫かな~?」と不安になるくらいです。しかし、10日前には、ファンライド誌で連載コーナーを持っているモデルの日向涼子さんも上っているので、元プロと現役アスリートドライバーのコンビがへこたれる訳にはいきません。


中腹ですでに満腹。しかしゼーゼーしながらアタックの掛け合いが勃発



 急坂を上りつめた琴川ダムでも、標高1400mを超えていて満腹になりそうですが、ここで休むと再び走り出すのが大変になるのでそのまま通過。週末のスーパーフォーミュラに向けてのトレーニングが目的の中山選手は、ここまでに何度もアタック!大弛峠のように超級カテゴリーに相当する上りでは、ペースを刻むのが大事ですが、まるでインターバルトレーニングの様相。「中山はどこ目指してんの?自転車の選手?」とドライバー仲間から冗談交じりで言われているようですが、その根性は見上げたものです。

 終盤の緩斜面では回復を図りつつ、再び急坂でハートレートはLT(AT)レベル近くに上昇。そしてラスト1kmのところで中山選手がアタック。普段、土井雪広選手(Team UKYO)とトレーニングしているだけあって、なかなかのスピードです。30kmも連続して上っているので、これはかなり応えました。僕も目がチカチカしながら反応し、手足がしびれる状態でようやく山頂に到達!
 クルマで登山に来たお爺ちゃん達から笑みがこぼれるほど、二人とも酸欠でゼイゼイハーハーしていて、山岳ステージのプチゴールのような雰囲気でした。


「自転車好きのレーシングドライバーにとって、下りは退屈なものなんだ」と妙に感心



 ちなみに中山友貴選手の下りのテクニックは相当なレベル。「週末レースなんだから落車に注意してよ。頼むよ!」と何度も声を掛けましたが、その心配をよそに余裕しゃくしゃくの様子。「上りの方が楽しいから、下りは一気に済ましたかったんです」とは中山選手の弁。「そうか、自転車好きのレーシングドライバーにとって、下りは退屈なものなんだ~」と、妙に感心してしまいました(僕なんか、今でも上りと同じくらい下りが楽しいのですが)。

 スピード感覚や操る基本は、クルマと自転車で似ている部分もありますが、車体の挙動変化が違うので、安全マージンを多めに取るもの。でも、彼はクルマ同様にグリップの状態を瞬時に感じて、コンマ何秒かでブレーキと車体のバンク角を見事にリンクさせ、無意識に限界のコーナーリングをしている様子。初めての複合コーナーもなんのその。
 このライディングテクニックなら、ツールの逃げ集団に加わったとしても、気負いなく先陣を切って下って行けそうです。


装備などの準備と走り方の注意

 この日の走行距離は105km。インターマックスがある甲府を出発してふもとの牧丘町までが約20km、山頂まで50km。往復で4時間半掛かりました。
 上り口がうだるような暑さでも、気温差が15℃~20℃ほど(天候によってはそれ以上)あるので、夏でもかさばらない薄手のアームカバーやニーウォーマー、ウィンドブレーカーが必要です。自動販売機は序盤の直線的な上りだけで、その後は山水が数か所汲めるくらいなので、高カロリードリンクや捕食も用意しましょう。
 距離と標高差があるので、初めてのチャレンジの場合は、終盤の緩斜面まで脚の筋肉を労わるようにしましょう。ケイデンスのリズムを保てるように、軽めのギアを使うように意識することが大事です。これらのポイントを押さえていれば、近場の数百mの峠を走っているくらいでも、時間に余裕を持って走れば、きっと大弛峠も上れるはず。
 ダムから上では、道路を横切る溝のグレーチングが盛り上がっている部分があるので、下りは慎重に。冬から初夏まで(12月から5月末あたりまで)は閉鎖なので注意してください。


遠方から大弛峠に挑戦する方は、ふもとの温泉やJR塩山駅を利用するのも便利

 県外から来られる方は、ふもとの温泉"花かげの湯"が間もなくリニューアルオープンするそうなので、ここを利用するといいかもしれません。JRを使われる方は、中央本線の特急「かいじ」が停車する塩山駅が便利です。

 皆さんもぜひ大弛峠に挑戦してみてください!

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